口径20m電波望遠鏡 - VERA水沢局 -

先日は強風と降雪で、日本各地に大きな影響がでたようです。
奥州市にもみぞれ勝ちな雪が、いっぱい降りました。
北上川の様子◆

ぼくはこんな風雨の中を出歩くのがなかなか好きです。
そんなわけで今回はプラザイン水沢より、大空に想いを馳せ、小雨の降るなか国立天文台をご紹介します。

国立天文台 水沢VLBI観測所

水沢駅から南西に1.5km進むと、昔からの町並みと共存して、水沢VLBI観測所が設置されています。水沢VLBI観測所は国立天文台の中で現存する一番古い観測所の一つであり、1899年以来、同地では様々な観測、世界的プロジェクトの運用を行っています。

木村榮 胸像◆

1899年に始まった国際緯度観測事業は、すごく簡単に言うと、地球の自転のふらつき運動を世界で解明しようというものでした。日本の岩手県水沢、イタリア、ロシア、アメリカ3ヶ所の合わせて6つの観測所で行われました。実際の自転のふらつきの観測値と計算値の誤差を埋める為の「計算式へ加わるべき項」の発見が、1902年、水沢の臨時緯度観測所の所長、木村榮によるZ項でした。この発見「木村のZ項」は、計算の誤差を埋めはすれど正体はまだ不明でありました。実体が判明、特定されるのは、実に1970年になってからの事でした・・・

木村記念館

木村榮胸像の奥にある臨時緯度観測所の庁舎を移転した建物で、職員さんの許可を頂いて入ることができます。

奥州宇宙遊学館

1921年から1966年まで緯度観測所の本館として利用されてきました。一時は老朽化による取り壊しが決まりましたが、市民による保存活動の結果、国立天文台より2007年に奥州市に譲渡され、現在はシアター室、市民創作ルーム、常設展示室が備えられ、一般開放されています。
敷地内順路の遠くに目をやると・・・なにかでっかいモノが現れてきます!


◆口径20m電波望遠鏡 - VERA水沢局 - & 口径10m電波望遠鏡 - ミリ波観測用 -◆

どうですか!この遠くからでもわかる大きさ!
ほぼ直下まで近寄れ、タイミングが合えば実際に動いている様子も見れます。

あまりに興奮しすぎて空も晴れてきました。

↓手前が20m、奥が10mです。それぞれ役割が違います。

細かいお話は置いておいて、これだけ精密な機械がこんなに巨大だと、ただただ圧倒されるだけですね。ぼくの胸もいっぱいです。


現在、奥州市のいろいろな施設につかわれている「Z」のことばは、木村榮による発見「Z項」の業績を称えたものです。
 ・奥州市文化会館(通称Zホール)
 ・水沢小学校、水沢工業高校の校章にZの文字が入っている
 ・水沢総合体育館(通称Zアリーナ)
 ・勤労青少年ホーム(通称ヤングZ
 ・みずさわ観光物産センター(通称Zプラザアテルイ
 ・奥州市コミュニティバス(通称Zバス)
 ・日本宇宙少年団・水沢Z分団

このように地域に根付き市民に愛されることば、守られる施設として、水沢VLBI観測所は過去から未来へとこれからも引き継がれていくでしょう。なお同地はふるさと名所50景にも選定されています。


あまりに眺めすぎて夕方になってしまいました。
今回はここまでです。長々とご覧頂き誠に有難うございました。